April 18, 2005

ネットワーク外部性とネットの向こう側

[ インターネット ]
この記事では,Googleは,
  • 技術的革新(Page-rankのこと)
  • ビジネスモデルの革新(テキスト広告のこと)
  • エコノミストがネットワーク外部性などと呼ぶ現象のサンプル
であり,
  • 先行者利益のストーリー(GoogleはYahooの後に出現している)
  • 勝者が全てを取るモデル(Web検索は,MicrosoftのMS-Officeほど拘束的ではない)
ではないとしている.

Google とは何、というテキストの中で論じられている Google の強さ。この中で「ネットワーク外部性」という言葉が出てきます。一般的にはネットワーク外部性とは、そこに参加する人が増えれば増えるほど、そのネットワークの価値が増大するという現象のことを言うそうです。

ised@glocom の中では、

「ネットワーク外部性 network externality」とは、需要面、すなわちその財を利用するユーザ数の増加、あるいはネットワークのノード数の増加からもたらさられる便益のこと。経済学・経営学の用語で、元々はVHSとベータの家庭用ビデオの普及の分かれ目を説明する際など、情報技術標準の普及を決定づけるロジックとして概念化されたもの。

などと解説され、はてなダイアリーキーワードではネットワーク効果としてそのロジックの解説が行われています。

潜在的な顧客にとっての物やサービスの価値が、既にその物・サービスを利用している顧客の数に依存すること。より多くの顧客が物・サービスを利用するにつれてその物・サービスの価値が増す場合、その物・サービスには、正のネットワーク効果があるという。例えば、ビデオテープの規格、パソコンのOS、キーボードの配列、通信ネットワーク、クレジットカードのブランド等に見られる。

それで、一般のネットワーク外部性、ネットワーク効果というのはこういった経済学の類の話なのですが、インターネットではこの効果を促進する概念があるな、と思っています。それは、インターネットにおいてはコンテンツ利用者がある時からコンテンツ提供者になり得、その彼らがネットワークの価値を飛躍的に高めていくという話です。(ちょっとうまくいい言葉で言い表せないのですが...。)

例えば既存のメディアの場合、テレビの視聴者とか新聞の購読者とか、メディアから情報を受け取る人をどかっと集めてそこに広告枠を作り売るというビジネスをやっているわけですが、コンテンツ提供者であるメディアとその情報の受け取り手であるコンテンツ利用者の関係を見ると、メディアが 1 に対して情報の受け取り手がン万人なんていう世界です。コンテンツ提供者側は、大量の投資を行ってコンテンツを作成し、その投資金額を回収できるように広告枠に値付けする。

一方、例えば昔ながらのホームページ開設サービスや最近流行の blog サービスの提供業者側に立って考えてみると、るコンテンツ提供者というのはサービス提供業者ではなく、サービスの利用者です。サービス提供業者が 1 に対して、そのサービスの利用者が数千人〜数万人いて、さらにそこにもうひとつ、その利用者らが作り出したコンテンツを閲覧している受け取り手が数十万〜数百万人いる、なんていう世界です。そして、サービスの利用者はコンテンツの閲覧者でもあります。するとどういうことが起こるかというと、コンテンツを閲覧していた人がそのコンテンツから何らかの影響を受けて、コンテンツを作成する側になるということが発生します。ここがポイントです。

例えばAmazon のアソシエイトプログラムは、そのコンテンツを閲覧していた人をコンテンツ作成者側に転換させるために、紹介料というインセンティブを与えることでそれを実現した良い例だと思います。Amazon の商品を閲覧している人たちが、自分のメディア(自分のウェブサイト)を使って、Amazon の情報を第三者に知らせるのです。Amazon からみると、Amazon の顧客が、インターネットのネットワーク上で Amazon の DB の中にある情報をどんどん伝播させてくれているわけです。さらに、インセンティブのおかげで、彼らは Amazon にとって常にプラスになる情報だけを伝播させていきます。この動きによって、Amazon は顧客を増やせば増やすほどメディア力を得、既存のメディアよりも遥かに安いコストで、効果的なメディアを手中に収めることができました。

これが、誰もが低いコストでメディアをもつことができるインターネットならではの特有のネットワーク効果だと思っています。

先日、会社のみんなとご飯を食べていたときに、ライブドアの堀江さんがブログで紹介した商品の売り上げ合計額が月間 1,000 万円だという話が上りました。個人が有名人になれば自分の blog で日記みたいなことを書きつつ 1,000 万円を売り上げることができる。確かにすごいです。でも、それはホリエモンが有名人になって1人で 1,000 万売り上げました、というのに過ぎない。いわば既存のメディアがやっているそれと同じことです。それから堀江さんは、先日テレビ番組に出てブログについて語りながら、ブログのビジネスモデルについて「ブログで有名になった女の子の写真集を出すとかいろいろあるじゃないですか」みたいなことを言っていた。それもやっぱり、インターネット的なビジネスモデルではない、スケールしないビジネスです。

前者のAmazonのような例でインターネット上のビジネスを考えているか、後者の堀江さんの話のような例でインターネット上のビジネスを考えているかは、かなり大きな違いだと思います。以前にRSSフィードはウェブ広告にとって善か悪かというエントリーを書きました。冒頭に出てくる「フィードが自社サイトへのトラフィックを減らすのではないか」という考えは、どちらかというと後者的な考えです。自分のサイトとその閲覧者だけを見て考えている。一方、自分のウェブサイトを含め、検索エンジンや競合のウェブサイトを含めてインターネット全体の動きを捉えて考えると違う考えになる、ということを論じました。これは前者的な考え方だと思います。

この、インターネット全体を捉えて考えるという考え方ができるかできないか、「ネットの向こう側」を頭の中で絵に描けるかどうかが、インターネットでビジョナリーになれるかどうかの分かれ目だと思います。ネットの向こう側を頭の中で描けている人は、ネットワーク外部性を考慮したビジネスモデルを描くことができるでしょう。いわゆる「スケールするビジネスモデル」を確立するためには、こういったビジョンが必要不可欠なのではないかと思います。

Posted by naoya at April 18, 2005 04:59 AM | トラックバック (2)  b_entry.gif
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コメント [1件]

ネットワーク外部性は、intelのMPUやMicrosoftのOSを例に挙げた法が実感しやすいかもしれないです。

[1] Posted by: 酔狂人 at April 20, 2005 05:41 AM [返信]
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