January 23, 2005

RSSフィードはウェブ広告にとって善か悪か

[ XML , インターネット ]

「RSSとは何ぞや」という話をした直後に寄せられる質問・意見の多くは「フィードを配信することで自社のサイトへのトラフィックが減ってしまう」というもの。(サイトの閲覧がフィードで完結してしまうことにより)トラフィックが減ってしまい、広告収益などが減ってしまうなどなど。そのためフィード配信には消極的にならざるを得ないという話。

こういった問いに対する答えはどうしたら良いものか、と常々考えていました。僕なりに考えた結論としては「フィード配信はウェブサイトの広告収益に貢献する」というものです。

まず、現在のウェブの広告というものを考えてみます。AdWords や Overture などの検索連動型広告、Google AdSense のようなコンテンツマッチ広告、そして従来型のバナー広告、またアフィリエイターによる商品紹介広告、などなどの種類があります。

このうちフィード配信と関係してきそうなのは、

・コンテンツマッチ広告
・バナー広告
・商品紹介広告

でしょうか。

このうち最近流行のコンテンツマッチ広告、Google AdSense などについて考えてみます。Google AdSense による広告をクリックするユーザーとは、どんなユーザー像でしょう。例えば僕の blog にも Google AdSense が表示されていますが、それをクリックするのは果たして誰でしょう。

統計から言えるのは Yahoo! Japan で検索してやってきたユーザーが多いという点が挙げられます。はてなアンテナやRSSリーダーを使って定期的にサイトにやってくるリピーターの方でも、Google で検索してやってきた人でもなく、Yahoo! Japan 経由の訪問者です。(Google 経由の人とYahoo! 経由の人とのユーザー像が異なるという話に関しては なぜGoogleではなく、Yahoo! JAPANか? を参照してください。)

Yahoo! Japan 経由の訪問者は広告への誘導確率が高い、今まで感覚的には分かっていましたが、Google AdSense のURLチャネル機能を使ってデータを取ってみたところ、はっきりしてきました。URLチャネル機能でページ単位で広告の効果測定が行えます。ページビューの多いページを登録してしばらくデータ取りをしてみました。

すると、AdSense は全体的に平均してクリックされるのではなく、いくつかの特定のページでのみクリックされているということが分かりました。そして、その特定のページへのトラフィック経路は決まって、Yahoo! Japan 経由のという結果でした。

ここから、コンテンツマッチ広告で成果をあげたい場合は、リピーターではなく検索エンジン経由、それも Yahoo! Japan 経由のユーザーボリュームを増やすことが重要であるということが分かります。

検索エンジン経由のトラフィックを増やすには、SEO により検索結果で優位な場所に表示されるよう最適化を行っていくということになります。ご存知のとおり、検索結果で優位な位置を確保することは、リンクを獲得することと等価です。

ここまでの結果ですと、フィード経由のユーザーは広告のクリックには貢献しないので、直接的な収益を考えた場合、ターゲットユーザーではないということになります。しかし、ここで考察をやめてしまうのは早計。あなたのサイトにリンクを貼ってくれる人は、どんな人でしょうか。それは検索エンジン経由の訪問者、つまり一見さんではなく、あなたのサイトのコンテンツの価値を理解して、内容までしっかり読み取ったうえで、リンクしてくれるユーザーです。つまりそのユーザーはリピーターである可能性が高い、ということが考えられます。

・ コンテンツマッチ広告の収益を増やすためには検索エンジン経由のユーザー数を増やす
・ 検索エンジン経由のユーザー数を増やす = リンクを獲得する
・ リンクをするのはリピーター
・ リピーターの数を増やすにはリピーターへの利便性を向上させる仕組みの積極的投入が必要

こんな流れで考えると、RSSフィードを配信することによって、サイトへのリピーターを増やすことが、最終的には広告収益の獲得に繋がることが分かります。その場合、利便性が高ければ高いほど、リピート率が高まる可能性もあるという理由から、フィードによる全文配信も肯定することができるでしょう。

要するに、サイト一つを見た、いかにサイトのトラフィックを増やすという考え方から、インターネット全体を俯瞰的に見て、サイトが持っているコンテンツの価値をいかに伝播させるかということに考え方をシフトさせれば良いのです。

フィードの利点は更新情報、そのコンテンツの価値が即座にリピーターに伝わるということ。従来のウェブに比較して、情報の伝播スピードが速いのです。その分、ユニークな情報を提供した場合に、より早くリンクを獲得することができ、同様の情報を発信しているページよりもはやくリンクを獲得できる可能性が高いという効果も得られます。

そのウェブサイトの価値を何をもって計測するかにもよりますが、広告収益をその柱とするようなメディア的な役割のサイトにおいてはRSSフィードの配信は有効に働くのだと言えるでしょう。(サイトのデザインなどビジュアル的な要素といった点が重要なサイトにおいては、また違う話になってきます。)

コンテンツマッチ広告の場合はこのような結論だと考えています。

アフィリエイトによる商品紹介に関しては、逆に一見さん以外にもリピーターの方が、そのサイトオーナーがおすすめしているということに価値を見出して購買につながるケースが多いので、フィード配信がその底上げに貢献する、言えるでしょう。もちろん、検索エンジン経由でのトラフィック増加が、購買回数の増加に繋がるのもまた同じです。

ということで、アサマシい話になってしまいましたが、フィード配信について消極的な場合に、どうやってその人を説得するかは、こんな考え方でいかがでしょうという話でした。

あくまで現時点で用意されている広告商品やサイト閲覧用のツールを考えてのことなので、ブラウザやリーダーが進化した場合にはそれこそフィードそのものに広告価値が生まれ次のフェーズへ移っていくということも十分に考えられますね。

Posted by naoya at January 23, 2005 04:24 PM | トラックバック (11)  b_entry.gif
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コメント [2件]

とても整理されている論旨で、参考になります。

すごく本質的なことを言えば、「価値あるメディアに広告はついてくる」ですよね。

また、インターネット広告の利点は、やたら多くの人に同一のアドを見せることではなく、限られた人に確実に刺さる広告を、とのことだと思うので、RSSでリピーター(当該コンテンツにマッチしたコアターゲット)が増えれば、広告効果は高まるはずですよね。

これらはまだ仮設の段階だと思いますので、データで検証していったり、RSS使ったり使わなかったりと同一企業でテストマーケティングしてみれば、おのずと結果が出てくる話だと思いますよね。

[1] Posted by: tessy at January 23, 2005 10:54 PM [返信]

むかーしインターネット広告売ってました。

ニュースサイトにおいては、昔は(いまも?)トップページのバナー掲載価格って高かったんですよ。露出効果も場所もいいからって。

RSSの普及によってこれもまた変化するのではないかと思いますね。ただ、広告代理店や広告主がこれを理解するまでは、ちょっと時間がかかるかも。

[2] Posted by: 四家正紀 at January 25, 2005 12:00 AM [返信]
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