January 07, 2004

CNET Japan のトラックバック対応、その意味と将来

[ インターネット ]
先ほどCNET Japanのリニューアルを行ないました。デザインコンセプトを見直し、サイト全体の構成やナビゲーションを変更し、全ての編集記事にTrackBackができるようにしました(従来はBlogのみ可)。

CNET Japan の各ニュースにトラックバックが打てるようになりました。結構あちこちで cool だ hot だと話題になっているのですが、少し冷静に考えてみたいと思います。

まず、ニュース記事にトラックバックが打てることに関しての CNET Japan の狙いは何かを勝手に推測してみます。

  1. 各ニュース記事にトラックバックで紐付いた Blogger の記事が見れるようになり、第三者はニュースの記事だけでなく世間の声も一緒に見ることができる。CNET の視点からすると、Blogger の記事も CNET のコンテンツの一部にしてしまえるという旨味。
  2. トラックバックが打てるということは、他のニュースサイトの記事よりも、ウェブログ上で CNET の記事を話題にした方が、トラックバックを有効に使っている Blogger にとっては嬉しい。話題にされる機会が多くなりウェブログ → CNET Japan というトラフィックが自然と多くなる。(トラフィックが多くなれば収益増大に繋がるのは言うまでもなく。)
  3. これまでIT論客のウェブログを積極的に展開するなどしてきた流れにおいて、CNET Japan のブランド構築のための一手 (実はこれが一番大きい気もする)

といったところが主だったところでしょうか。こうして見てみると利点ばかりなのですが、もう少し思うところがあります。それは、現状のトラックバックの利用のされ方と、ニュース記事に対するトラックバックが打てるという事例を照らし合わせてみたときに、多少のずれが見られるという点に起因します。

あくまで個人的主観でしかないのですが、現在のトラックバックの一般的な利用形態を見ていると、それは必ずしも何か関連記事を書いたからトラックバックします、というほど機械的なものではないように思います。それよりも、もう少しコミュニケーションという意味合いの強い使われ方がしているような。

つまり、第三者が関連記事をトラックバックから辿れる導線を構築するためのトラックバックではなく Blogger が書き手に向けて、「あなたの話題について書いたよ」とか「僕もそのライブ行ったよ!」といった人から人へ向けての暗黙のメッセージを送るという利用形態がほとんどではないかと。

個人のウェブログに対して送るトラックバックというのは、明確に Blogger という一個人が相手として存在しているので、そこにコミュニケーションが成り立つ場合も多いように思います。一方で、CNET Japan のニュース記事は個人の存在が無いか、あまりその存在が意識されない場合が多いでしょう。編集、ライターや翻訳者の方はいますが、それを個人として意識しながらニュース記事を読む読者はそれほど多くありません。

すなわち、個人間トラックバックいわば CtoC トラックバックと、個人から企業に向けてのトラックバック、CtoB トラックバックというのは、その本質が異なってくるので、果たしてそれがどこまで一般化されるのかという疑問が浮かぶ、ということです。

それからもう一点、個人のウェブログであれば、エントリの露出期間はそれなりにあると思いますし How To 物のような記事は過去ログを漁ってでも見たいという動機付けに繋がるので、トラックバックを受け取る機会もそこそこあることでしょう。一方で、ニュースサイトのニュース記事は長くても数日、そのほとんどが一日ほどで露出されなくなってしまいます。これでは、先の CtoB の問題もあって、多くのトラックバックを集められる記事というのは限られてくるでしょう。

その記事が話題になってるかとか、トラックバックを辿って個人の意見を見たいという読者からすると、トラックバックが 0 件とか 1 件とかのものばかりでは、そこに価値を見いだすことができません。

Amazon のプロダクトに対してトラックバックを打てるようにしたらいいのではないかという話が時々挙がりますが、これは露出に関して期間的な縛りがあるわけでもないですし、「これまでレビューを書くためにはサイトに出向いて、自分の意見をそのサイトに提供する必要があったのが、自分の手元で書いて自分のホームに残しておける」という大きな動機付けがあるので、同じ CtoB トラックバックでもかなり意味合いが違ってくるでしょう。

しかし、これまでの話はあくまで現状のトラックバックのインタフェース、利用シーンをベースとした場合の考えです。トラックバックが(それを打っていることすら意識しなくなるほど)もっと手軽なインタフェースを持つようになって、視覚化が進んで来た場合には大化けする可能性も秘めています。

CtoB の繋がりがインフラとして成立するようになってくると、例えば読者が CNET の記事を引用してトラックバックを打ったとし、その導線によってトラフィックが流れた場合には何かしらの要素を読者に還元するといった、トラフィックベースのアフィリエイトのような仕組みをスパイスとして加え、動機付けを強めていくといった新しいモデルなんかも考えられてくるでしょう。

トラックバックを打てるシステムを組み込むこと自体にはさほどのリスクはありませんし、こうして考えると、"最低限のリスクで大きな価値" という理想的なパターンにがっちりとはまる可能性もあるかもしれないとも思います。

このいわゆる先行者利益的なロジックに関しては、「先行者利益」という言葉一つだけみると「早い者勝ち」という非常に安易な表現ですが、もっと深く考えるべきところがあり、ちょうど今僕が思っているのと同じような話が Tanakayoshikazu.com 'ビジネスモデルがあるときは、遅い' なんかで非常に説得力のある論理として展開されています。

今回の CNET Japan のトラックバック対応の件も、後から見たら「やっぱり先にやった所が強いよね」ということになっているのかもしれませんね。

と、なんとなく大袈裟に語ってみたのでした。

Posted by naoya at January 7, 2004 05:15 AM | トラックバック (7)  b_entry.gif
トラックバック [7件]
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コメント [1件]

例えば『この記事はこういう点が間違ってる』とか、『この訳者は根本的に文章が理解できてない』とか、trackback で明確にしかも素早く指摘できるようなると思います。そうすると、今まで online でも、紙ベースと同じ位のしっかりとした編集/校正作業が必要なる、とか。もちろん読者からすればいいことですけど。

[1] Posted by: 通りすがり at January 7, 2004 08:07 AM [返信]