ブロッガーの間で広く使われている見出し配信技術「RSS」に反旗を翻し、代替技術に取り組む動きが起きている。だが問題になっているのは技術そのものよりも、むしろRSSを統括している人物のようだ。論争は個人攻撃の様相も帯びている。
RSS 2.0 vs ATOM についてのコラム。Dave Winer vs ATOM 陣営 の火花はどうやって切られ、現在はどんな論争になっているかといったお話。
RSS の情報を調べていると色んな話が出てきて面白いと同時に混乱しがちなので、僕なりにここ最近仕入れた知識を用いてちょっとまとめてます。
コラムの冒頭で "RSSの主要な管理者であるハーバード大学ロースクールのデイブ・ワイナー氏" とあることから、ここで指す RSS のバージョンは主に 0.91 や 2.0 のことでしょう。山田BBS: ウェブロについて考える。2 の 198 に拠れば、海の向こうで RSS と言ったら (RSS 1.0 ではなく) RSS 2.0 なんだとか。日本だと RSS 1.0 を良く見るし、MovableType が RSS 1.0 を吐き出していることもあって、てっきり 1.0 がデファクトかと思い込んでいたのですがどうもそうではないみたいです。
RSS のバージョン間の差異その他については 山田BBS の 198 や HotWired Japan : RSS でサイトの情報を公開しように分かりやすくまとまっています。更に簡単にすると、
といったところです。(更には RSS 3.0 なんてものまで提唱されているそうな。)
このコラムの中心人物である Dave Winer 氏は、Radio UserLand や Weblogs.Com でも有名な UserLand Software の元CEO。RSS、SOAP、XML-RPC、OPML などの仕様開発において重要な役割を果たした功労者である一方で、 Daypop Top Weblogs でも常に上位にある Scripting News で情報発信を続ける blogger でもあります。現在は Harvard で研究員として雇われているらしいです。(Dave Winer 氏について詳しく知りたい方は CNET Japan - Blogの祖、ハーバード大学研究員へ に多くの記述があるのでそちらを。)
一方の ATOM は元々 Echo と呼ばれていたプロジェクトで、RSS のあいまいさを取り払ったより発展的なフィードのフォーマット、という位置づけで仕様開発が進められているもの。(過去のエントリ: 'The Web KANZAKIで Echo の解説が公開')
コラムに拠れば、IBM の Sam Ruby 氏、Google 傘下となった Blogger 陣営などがその中心とのこと。MovableType の開発者である Trott 夫妻を含み、多数の blog ツール開発者が賛同者として名を連ねています。また、Social Software Alliance (SSA) というベンダニュートラルでユニバーサルな Social Software の規格を作って行きましょうという NPO がロードマップサポーターという位置づけで参加していたりもします。
なお、(Echoがそうだったように) ATOM もまた仮の名前で、現在は最終的な名前を決定するための投票が行われているみたいです。(Atom Wiki: NameFinalVote) Feedcast ってのが一番人気ですね。先日米国出張に行ったときに、知っていそうな人と話したときは皆 ATOM と呼んでいましたが。
さて、なにやら業界標準闘争は複雑な様相を見せています。
僕個人の(浅い)経験から行くと、RSS のバージョン間での非互換性は RSS を応用したソフトウェアを開発するときに必ず付いて回る話題だと思います。その一方で、同じバージョンの中でも、サイトによってフォーマットの規格がばらばらだったりして扱いにくかったりもするわけで、それはそれでしっかりとした基本規格を固めて欲しいと。
例えば RSS 1.0 の基本仕様には記事の更新日時を表現する要素がないため、複数の RSS をアグリゲーションするときなどに、RSS からの情報だけでは記事を時系列に並び替えることができません。そこで namespace を用いて Dublin Core モジュールと呼ばれる拡張を施し時刻情報などを挿入するわけですが、この時刻情報は RSS 1.0 に必須のフォーマットではありません。結果、同じ RSS 1.0 でもサイトによって時刻情報があったりなかったりといった差異が生まれます。
他の例としては、過去に Content モジュールで拡張して content:encoded を使えば記事情報をフルスペックで配布できるみたいな話を書きましたが、これに対しては、そんな拡張をしてしまったら要約を配布するという RSS の本来の意味が失われてしまう、みたいな反論があったりするというものもあります。(過去のエントリ 'RSSリーダーで段落整形させて表示させる方法' と 'content:encoded についての解釈')
コラムの中にある
RSSの代替技術に取り組むIBMの上級技術者、ルビー氏は次のように語る。「デイブ・ワイナー氏は何度となくnamespacesをあげつらって、相互運用を妨げていると主張した。
の部分はこういった RSS の問題点についての話だと解釈してみました。
僕のような感想を持った人で技術力のある人たちが集まって課題を解決するためにあれこれやっていたら、こんな状態になってしまっていたということなんでしょうか。
僕個人としては日本で普及しているということもあるし、インターネットがこの先目指す一つの大きな目標としてのセマンティックウェブ、その地盤となる RDF がベースになっている RSS 1.0 を贔屓にしたいところですが
山田BBSの ウェブロについて考える。2 スレによれば彼の地でRSSといえば0.91/2.0のことなのだそうだ.W3Cを含めて1.0を推奨する動きはなく,別のフォーマット(EchoだのAtomだの)に移行しようとするのは不思議といえば不思議.
とあるように、なぜか RSS 1.0 は盛り上がってないようです。
こういった議論の結果としてモノがブラッシュアップされてより良いものがスムーズに生まれてくるのであれば言うことなしですが、オープンな技術を積極的に取り入れることでその礎を気付いてきたウェブログにとっては特に、標準技術の分家化は大きくマイナスの作用をもたらすのではないでしょうか。RSS や ATOM はウェブログだけのためのものではないですが、他の分野にとっても、この論争が無駄に長引くとその足枷となるであろうことは誰でも想像が付きます。
願わくば、うまく丸く収まる方向を期待したいですね。