April 28, 2003

インターネット世代

[ インターネット ]
これほどの急激な発展をみせたネットだが、「社会全般に対しての影響の真価がわかるのは、むしろこれからだ」と、Mosaicの生みの親であり、またNetscapeの成功によって時代の寵児となったMarc Andreessenが語っている点も興味深い。つまり、ネットが当たり前という環境で生まれ育った世代が成人した時になって初めて、その真価がわかるというのが彼の考えだ
僕が初めてインターネットに繋がった端末に触れたのは大学一年生の頃、今から7年前。大学の情報センターでPC98を使ってアクセスしていた。当時は既にNetscape Navigator のバージョン 2.0 がリリースされていてウェブを観る環境もそこそこ整っていた。(ただ、回線が大学全体でWIDEの128k専用線一本のみを共有して使い回していたとかで、使い物にはならなかったけど。)

当時僕はすでに19歳だった。そのとき思ったのがこのコラムに同じく「インターネットが生まれたときからある世代が社会を担う次代になったらどうなるんだろう」ということだった。面白くもなりそうだし、今以上に多くの社会問題を抱えることにもなると思った。

いわゆるインターネット世代と、僕らが決定的に違うのは「ネットワークのインフラとしてインターネットを意識するかしないか」の違いだと思う。僕らがテレビを観る時に、電波や電気をまったく意識しないのと同じで、インターネット上のサービスを使いつつも、ネットワークのインフラそのものをほとんど意識しない、その違い。

もちろん、今でもウェブを閲覧したりメールを読み書きする際にその背後にインターネットというネットワークが存在しているかどうかは、ユーザーはまったく意識しなくて良い。しかし、僕らはおそらく、「インターネット」に対して何か特別な意識を勝手に働かせてしまう。「インターネットだから」あれができる、「インターネットに繋がっているから」これができる、というように。何かをする毎に背後にあるインフラのことを意識せずにはいられない。かつて「インターネットする」という動詞に対して大きな違和感を覚えた人は多いかと思う。インフラに対して「する」という動詞が付くこと自体おかしい。これはインターネットをインフラとして使ったサービスが特別なものだという意識が働いている格好の一例だろう。インターネットに触れたときに大きな衝撃を覚えた人、あるいはインターネットによって生活に大きな影響を受けた人ほど、インフラを特別視する度合いが大きいのではないかと思う。

日本のインターネット創世記の頃は、ウェブサイトを公開すること自体が特別な物だと思われていた。大学の助手で僕の先輩は当時、(派手なデザインなど一切ない、単なるテキストにほぼ等しい)HTML 1ページで10,000円という今ではとても考えられないようなアルバイトをしていたという。それが7年経って、ウェブサイトは単なる情報の発信拠点だけでなく、たとえば家庭内LANに繋がったDVDレコーダーの録画予約をするインターフェースであったり、自分の銀行口座をマネージメントする扉であったり、あるいはウェブログのように、ウェブサイトそのものを管理するツールであったりするようになり、その利用形態も大きく変化したし、ウェブサイトを公開することがそれほど特別なことでもなくなった。

当時特別だったことを特別だと思わなくなる頃になると、思いもしなかったようなイノベーションが起きるのだと思う。僕らの世代にとっては機能過多にしか思えない携帯電話を、いまどきの高校生は自分の手足のように隅々まで使い尽くして、僕らが考え得なかったような新しい使い方をそこに見出す。インターネットは社会に与えたインパクトが巨大だったために、まだ特別なものという意識から抜け出せていないのかもしれない。でもそれもあと数年の話で、僕らが考えもしなかった面白いアイデアを持った何億人もの人々が世を台頭する時代も近いのだろう。

そのとき、僕らの世代が担う役割というのは、その創世記を経験したという強みを逆に生かす立場ということになるだろう。テレビやコンピュータが当たり前じゃなかった世代の人たちと、それが当たり前の人たちがうまく調和を取って新しい技術が生まれて来たように、インターネットもまもなくそういう世代に突入しようとしているのだと思う。

Posted by naoya at April 28, 2003 11:55 AM | トラックバック (0)  b_entry.gif
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コメント [1件]

Netscape Navigator 2.0、販売担当兼サポートを以前、一人でしていたのを思い出しました。

当時は、PC98を利用しているお客様から、インストールができないという苦情が殺到してPC98用のインストール説明書を作ったり(注1)、ハードディスクがいつのまにかいっぱいになるキャッシュについて説明したり(注2)といったことを懐かしく思い出します。

注1)Netscapeはインストール先をCドライブにしていたのをPC98のハードディスクであるAドライブに変更した。
注2)当時はハードディスクの容量が500MB程度のマシンも多かった

いろいろ進化しましたが、ブラウザーの基本部分はほとんど変わっていないと思っています。

この部分にこれからのインターネットの進化に大きなヒントがあるように思っています。
それを変える可能性を持つのがblogであったり、RSSであったりするのかなぁと考えています。

ここらへんを今度一緒に話しましょう。

[1] Posted by: kinji at May 1, 2003 06:12 PM [返信]